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2024.03.12

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Q. 「おしどり贈与」は、土地の一部や建物の一部でも構いませんか?

A. ん? でました「おしどり贈与」3連チャン目🀄 おしどり贈与の特例贈与税の配偶者控除の特例)は、一生で1回しか使えないですよ。部分的に贈与していこうとお考えのそこのあなた!ちょっと待った!!

「おしどり贈与」が適用される居住用不動産の要件

居住用の建物(家屋)と土地(敷地)は別々に贈与を受けてもOK!です。家屋のみ、または敷地のみ贈与を受けた場合でも「おしどり贈与」を適用することができます。
居住用家屋の敷地のみ贈与を受けておしどり贈与を適用する場合は、その家屋の所有者は次のいずれかであることが必要です。

●受贈配偶者の配偶者(=敷地を贈与した配偶者)
●贈与を受けた配偶者と同居するその者の親族

では、1筆の土地の一部を贈与する場合はどうでしょう? それも「おしどり贈与」を適用することができます。
でもちょっと待って!! 贈与登記の前提として元の1筆の土地から贈与する土地を分離させる「分筆登記」をする必要があります。例えば、面積300㎡の土地の一部30㎡を贈与する場合、この土地については分筆登記をして、〇〇番1(面積270㎡)と〇〇番2(面積30㎡)と2筆の土地に分けます。そして〇〇番2(面積30㎡)の土地について贈与登記を行います。
自分で登記申請を行うことはできますが、測量や図面作成などを伴いますので、基本的には土地家屋調査士に依頼することになります。なお測量士では、分筆登記をすることができません。場合によっては確定測量を実施し筆界を確認しなければなりません。確定測量とは、隣接土地所有者の方と境界について立会を行い、筆界を確認し、筆界について承諾しました、争いはありません、という書類を取交す一連の土地境界(筆界)確定測量業務ことをいいます。確定測量が完了した後で、分筆を実施する流れとなります。

「おしどり贈与」のメリ・デメ

「おしどり贈与」(贈与税における配偶者控除)の制度は、生存配偶者の老後の生活安定に配慮する趣旨で創設されています。このことを十分にご理解下さいね。
ではまずメリットから。

① 将来相続税が必ず掛かるという場合は、相続税を少なくすることができる

生前におしどり贈与で財産を贈与しておくと、贈与者が亡くなったときの相続税を少なくすることができます
おしどり贈与をやった方が良いのか迷われている方はNEXUSへご相談下さい。

② 相続開始前3年以内の贈与財産の加算が適用されない

贈与者が亡くなるまでの3年以内(2024年(令和6年)以降に贈与される財産は、相続税の課税対象になる期間が「亡くなるまでの7年以内」まで段階的に延長されています。)に贈与された財産は、相続税の課税対象になります。これは、余命が短いとわかって急いで生前贈与をするなど、相続税を不当に少なくする行為を防ぐ目的があります。ただし、おしどり贈与で贈与された不動産や資金は、亡くなるまでの3年~7年以内の贈与であっても相続税の課税対象に加算しません。高齢である、または余命が短いなどといった状況で、自分の財産を少しでも減らしておきたいときには、おしどり贈与が有効に使える場合もあります。

③ 自宅の売却時に夫婦2人で3,000万円特別控除が使える(こともある)

自宅の土地・家屋のうち2,000万円分の持分を、おしどり贈与で配偶者に贈与したと仮定します。これにより、自宅は夫婦の共有となります。
将来この自宅をやむを得ず売却することになった時には、譲渡所得税の居住用財産の特例(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)を適用することができます。
この特例は、居住用財産を売却して利益を得た場合に、譲渡所得税の計算上3,000万円まで控除できるというものです。つまり、夫婦で共有していた自宅を売却した場合は、売却益からそれぞれ3,000万円ずつ、合わせて6,000万円まで控除することができます
贈与税における配偶者控除の「居住継続見込み要件」というのがあるので、例え、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産の贈与があった場合でも、贈与による取得後にその居住用不動産を他へ譲渡することを予定していたときは、「引き続き居住の用に供する見込み」に該当しないので、贈与税の配偶者控除の適用が認められないことになるので注意が必要です。
では、「引き続き居住の用に供する見込み」の判定時期はどうやって決めているのかというと、贈与税の配偶者控除について規定する相続税法21条の6やその関係法令・通達では、明確に定められていないのであります。しかし、相続税法21条の6のなかで、贈与税が贈与の時点で納税義務が成立すること(国税通則法15条2項5号)や、婚姻期間が20年以上である配偶者に該当するか否かの判定が、財産の贈与の時の現況により判断すること(相続税法施行令4条の6第1項)から、配偶者が居住用不動産の贈与を受けた時点において判定することになると考えられます。なお、上記の判定時期の考え方については、配偶者から居住用不動産を贈与により取得した後、短期間で譲渡した場合の贈与税の配偶者控除の適用の可否について国税不服審判所で争われた事例があります。その裁決[大裁 第68号平成25年5月8日]においても、居住用不動産の贈与を受けた時点において、その不動産を「引き続き居住の用に供する見込み」であるか否かの判定がなされています。
では、婚姻期間20年以上の夫から妻が自宅の贈与を受け、妻はその贈与を受けた時点では自宅に「継続して居住するつもり」でしたが、贈与後に夫が病気により入院し、介護の都合から贈与を受けてから短期間で自宅を譲渡することとなったケースの場合、妻は贈与税の配偶者控除の適用が認められるのでしょうか。この場合については、妻が贈与を受けた時点では自宅に「継続して居住するつもり」であったことや、贈与を受けた後、夫の介護のために自宅を譲渡するに至った経緯などから判断して、妻の贈与税の配偶者控除の適用は認められるものと考えられています。

では次にデメリットはというと。

① 不動産取得にかかる税金が相続より高くなる

不動産を取得したときに課税される「不動産取得税」は、贈与による取得の場合は「固定資産税評価額×原則税率4%」ですが、相続で取得した場合は非課税です。また「登録免許税」も、贈与は「固定資産税評価額×2%」、相続は「固定資産税評価額×0.4%」となっています。不動産取得に関わる税負担は、贈与の方が重いです。

② 贈与された配偶者が先に亡くなる可能性がある

受贈者(贈与された側)である配偶者が先に亡くなった場合不動産は受贈者の相続財産となり、非課税で贈与したものに相続税がかかってしまう可能性があります。子どもなど他の相続人がいない場合には、財産は贈与者に戻ってきます。そうなると、おしどり贈与の利用時に支払った不動産取得税などの費用負担は、無意味だった😰ことになってしまいます。

「おしどり贈与」のちょっとだけ深堀

ここでちょっとだけ「特別受益」についてお勉強です📝
「特別受益」とは被相続人によって特定の相続人が受けた特別な利益のことをいいます。(特別受益についてはまた後日改めて解説しますね♪)
つまり「生前贈与」や「遺贈」で受けた特別な利益のことですので、被相続人から相続人に対する恩恵や“めっちゃ優遇されたんとちゃうん”といった側面が有ります。特に生前に行われる場合は「遺産の前渡し」と言われることもあります。ですのでこの不公平感を無くすべく、相続において他の相続人との公平を図るため、原則として特別受益の「持ち戻し」をしたうえで相続分が計算されます。特別受益の持ち戻し」とは、特別受益がある相続人の相続分を減らし、それ以外の相続人の相続分を増やすことによって、公平を図っていく制度(民法903条第1項)のことです。
何が言いたいかというと、「おしどり贈与」や遺贈が行われた場合、その居住用不動産も特別受益とちゃうんか?(誰がそんなこと言うねん!! そこに愛はあるんか?😁)です。
ここでもう一回民法に戻るのですが、実はその第903条第4項に、「婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。」と記載があります。
改正前の民法では、特別受益の「持ち戻し免除」には、常に被相続人による明示の意思表示が必要とされていました。そのため、遺言書の中で「持ち戻し免除」についての記載がないケースでは、ほとんどの場合、特別受益の「持ち戻し免除」が認められませんでした。このような改正前の民法で問題になりやすかったのが、被相続人と長年連れ添った配偶者の住居である建物・敷地を巡る「特別受益の持ち戻し」です。たとえば、被相続人が配偶者に対して住居の建物・敷地を生前贈与した一方で、特別受益の「持ち戻し免除」については何ら意思表示が行われなかったとします。仮に、配偶者に対する住居の建物・敷地の生前贈与が「特別受益の持ち戻し」の対象となるとした場合、生前贈与を受けた建物・敷地の金額が、本来の相続分(に基づいて受け取れるはずの金額)から引かれてしまうので、配偶者の相続できる財産が大きく減ってしまいます。さらに、他の相続人に対する遺産分割をするため、泣く泣く建物・敷地を売却して現金化する方法を選択し、配偶者が建物・敷地から出て行かざるを得なくなり、その結果、被相続人の財産に依拠してきた配偶者の生活が脅かされるケースも増えてしまうことが多々ありました。このように、配偶者が相続において不利になる結果は、必ずしも被相続人の意思に沿うものとは考えられないため、法制度上の問題点として指摘されていました。そこで、配偶者に対する居住用建物・敷地の遺贈および贈与については、一定の要件の下で、被相続人の明示的な意思表示がなくても、特別受益の「持ち戻し免除」を推定する旨の規定が設けられたのであります(民法903条4項)。

え! そうなん!? 特別受益の持ち戻しに関するトラブルを未然に防ぐための生前対策(生前贈与の実行、遺言書作成等)について聞いておきたい方は、NEXUSまでご相談ください。

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