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2024.06.13

ブログ

今回は、「亡くなった父の相続について、相談に乗ってほしいんです!!」 と言われて訪問した時のことであります。
娘さま(長女)にお会いしたのですが、よくよくお話を聞いてみますと・・・

遺産の分割のお話は、相続人(長男・二男・長女)の兄妹3人全員で話し合わないといけないのですが、大丈夫ですか?」
長女「2番目の兄とは、この前に会った時ですが、一応話すことが出来ました。父の財産のこれはこう分けよう、この分はこうしようと。」
「え? 長男さんはいらっしゃらなかった? 長男さんとはまだ話してないのですか?」
長女「・・・」(何とな~くトラブルになりそうな予感です。)
長女「実は、、、長男が父(被相続人)から生前に、家を買う際の頭金やら、他にもいっぱいお金を受け取っているんです。。。この件も2番目の兄と相談しましたが、知ってるよと言ってました。。。」
長女「お葬儀の時、一番上の兄からは均等に分けようと言われましたが、そんなのあり得ないですよね??😠😠」
相続税の申告期限までに話合いがまとまらないと、特例が使えなくなりますので大変なことになりますよ!!」
長女「でも、一番上の長男だけズルくないですか?😡😡」
長女「何か良い方法は無いでしょうか??あれば是非教えてほしいのですが・・・😡😡」
ラブル発展激熱🔥🔥であります😅
特別受益って言葉をお聞きになられたことありますか?」

 

特別受益とは
難易度【★★★★☆】

私が面談した時の経緯をみてもらいました。
その長男が受け取っていた財産のことを「特別受益」と言うのでありますが、しっかり理解してもらった方が良いので取り上げてみました👍

今回のブログでは、特別受益についての基本的な知識から、生前贈与や遺留分との関係についても、数回にわたって出来るだけ解りやすく解説してみたいと思います。
これから相続や遺産分割について検討していこうと思っている方にも役立つ情報満載でお届けします。


特別受益とは、
相続人の一人が被相続人から生前贈与、遺贈、死因贈与などによって受けた特別な利益のことです。
特別受益制度は、相続人間の不公平を解消し、公正な遺産分割を可能にするための制度のことと言えます。

相続人の内、誰か一人だけが被相続人から生前に特別な利益を受け取っていたとします。
その場合、他の相続人からすれば「不公平だ」となるかも知れないですよね。
そこで出てくるのが、特別受益制度であります。「不公平」を解消するために、生前に受け取った財産を特別受益として計算に入れ、その上で遺産分割を行うことで相続人全員が納得できるように相続する分を調整することを目的としています。

今回の相談例でみてみます。 父親が亡くなり相続人は長男と次男と長女であった場合です。

もし父親が生前に長男に大きな金額の贈与をしていた場合、次男や長女からしたら「長男だけが生前に財産を受け取っててズルい!!」となるかも知れませんよね。そこでどうするのかと言いますと、長男が生前に受け取った贈与を特別受益として考慮して、その上で遺産分割を行うのであります。
長男が生前に受け取っていた分を相続財産に持戻して計算に入れてから、長男と次男と長女で分割することになります。長男は相続分から贈与を受けた額を差し引いた分だけ受け取ることができます。こうすることで、次男や長女が感じる不公平感を解消し、公平な遺産分割を実現することができると言う訳であります。(計算する方法を文章で書き示すのはなかなか難儀であります😅)

特別受益を相続財産に加算して相続分を計算

 

相続人の中で特別受益を受けた人がいる場合、その特別受益額を相続財産に加えて、相続分を計算します。
これを特別受益の「持戻し(もちもどし)といいます。

相続財産が1億円、相続人が子ども3人で、その中で長男が生前に父親から2,000万円の特別受益を受けていたとします。
相続財産に2,000万円を加えた1億2,000万円をベースに遺産分割を行います。法定相続分が1/3ずつであれば、長男は2,000万円(1億2,000万円の1/3から特別受益の2,000万円を差し引いた額)、次男と長女は4,000万円(1億2,000万円の1/3)を受け取ることになると言う訳であります。

特別受益を相続財産に加算することで、特別受益者と他の相続人との間の公平性を保ちながら、相続分を計算することとなります。
さらに具体的な事例を用いた計算方法については、partⅢくらい(知らんけど🙄)に詳しく解説しようと思いますので、そちらをご覧ください。

 

👉ちなみになる話①

特別受益の評価はいつを基準として評価するのか?

生前贈与を受けた財産の価値は、贈与を受けた時点と相続開始時点で大きく差があることがあります。
このような場合、一般的には相続開始時点を基準にして特別受益の額を評価するとされています。
例えば、贈与した時点では3,000万円の価値だった不動産が、相続開始時には4,500万円の価値に上昇していた場合には
特別受益の評価額は4,500万円とされます。
👉ちょっとだけ深堀
遺産分割の調停や審判の際の実際の評価は、当事者間の合意ができていれば合意された価格になります。

👉ちなみになる話②

特別受益者は相続人のみ

特別受益者とは、被相続人から生前贈与、遺贈、死因贈与などによって特別な利益を受けた相続人のことを指します。

特別受益の制度は、相続人間の公平な遺産分割を目的としています。そのため、特別受益者となることができるのは、相続人に限られます。
つまり、被相続人から生前に贈与や遺贈を受けたとしても、もし相続人でなければ、その受益は特別受益とはみなされません。

たとえば、ある人が亡くなり、その遺産を相続する予定の相続人が子どもたちである場合、子どもたちの中で生前に贈与を受けた者がいれば、その者は特別受益者となります。しかし、もし亡くなった人が友人や遠縁の親族に贈与をしていたとしても、その友人や親族が相続人でない限り、彼らは特別受益者とは認められません。

なお、相続放棄をした相続人がいる場合、その人はそもそも相続人ではなかったとみなされます。特別受益は、相続人が被相続人から受けた贈与などを公平にするための制度です。そのため、相続放棄をした人が被相続人から贈与を受けていたとしても、その贈与は特別受益として扱われず、相続分に影響を与えないのであります。

 

👉ちなみになる話③

特別受益の対象は「生前贈与」・「遺贈」・「死因贈与」

特別受益の対象となるのは、「生前贈与」「遺贈」「死因贈与」の3つです。

①  生前贈与
生前贈与とは、被相続人が生前に特定の相続人に対して行った贈与のことをであります。
特別受益にあたる生前贈与は、婚姻養子縁組生計の資本として受けた贈与に限られています。
②  遺贈
遺贈とは、被相続人が遺言書によって特定の相続人に財産を遺贈することを指します。
③  死因贈与
死因贈与とは、被相続人の死亡を条件として特定の相続人に財産を贈与することをであります。
死因贈与は、契約によって成立しますので、贈与者と受贈者の双方の合意が必要です。
遺贈と死因贈与は、相手が相続人であれば原則として全て特別受益に当たります。
ただし、生前贈与は全てが特別受益にあたるわけではなく、「婚姻養子縁組生計の資本として受けた贈与」に限られる点に注意が必要です。

それでは具体的にどのような生前贈与が特別受益に当たるのかを次回partⅡで見ていきたいと思います。

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