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2024.03.06
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Q. 夫の死亡保険金1,500万円の受取人は妻である私です。 夫が死亡した場合、「お父さんの形見として500万円で何か買いなさい。」と3人の子供たちにそれぞれ500万円ずつ渡したいと思っているのですが、何か問題ありますか?
A. めちゃくちゃ良いご家族ですね。(今回ご相談を頂いた方は良いご家族の方がものすごく多かったイメージです。我々NEXUSを知って頂いている方に良い方が多かったのか、当たり障りのないご相談をされた方ばかりだったのかは知らんけど😁)では死亡保険金の取扱について解説していきます。
保険金は受取人固有の財産
ご相談にもありますが、死亡保険金の受取人として妻が指定されている場合、その保険金は妻の固有の財産として受け取ることになります。と言うことは、遺産(民法上の財産)ではないということなので、保険金を遺産分割することはできません(遺産分割する必要がありません)。
このことを、もう少し難しい言い方に直しますと
「生命保険金は保険契約者と被保険者との間の生命保険契約に基づき定められた保険金受取人に対して支払われるものです。生命保険金は被保険者の死亡を契機としているものの、相続の発生で受け取れるものではなく、あくまで保険契約により取得できるもの。」であります。
最高裁の判例でも「保険金受取請求権は、保険効力の発生と同時に保険金受取人である相続人の固有の財産となり、被保険者(被相続人)の遺産から離脱しているものといわなければならない。」とされています。
ですので、ご相談のように妻が受取った保険金を子供たちに渡すと、その行為は贈与にあたります。たとえ親子間で「遺産分割」と言った形をとったとしても、保険金は妻固有の財産ですので、遺産分割の対象とはならないのであります。
じゃぁどうする?
贈与税がかからないように、3人の子供たちに、例えば毎年100万円を5年間にわたって贈与していくとか、代償金として交付する方法が考えられます。
代償金については、次回Q&A⑫で解説しますね❤
ここで【ちょっとだけ深堀】
相続税は、原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかってきます。
この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。
これを民法上の相続財産と言います。
税法上の「みなし相続財産」とは、被相続人が死亡時に有していた財産ではないが、被相続人の死亡によって発生する財産で相続財産と変わらないとみなされた財産のことをいいます。
例えば、死亡保険金や死亡退職金です。
被相続人が死亡時に有しているものではありませんので民法上は相続財産ではありませんが、税法上は被相続人の死亡により発生する相続財産と変わりない財産とみなされて、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。相続税法上のみなし相続財産には、次のようなものがあります。
●生命保険の死亡保険金・損害保険金
●死亡後3年以内に支給額が確定した死亡退職金
●定期金(相続人が受取る個人年金等)
●相続前7年以内に被相続人から贈与された財産(2024年1月1日以降の贈与財産は相続前7年まで課税対象となっています)
●相続時精算課税により贈与された財産
●特別縁故者への分与財産
この「みなし相続財産」の内、死亡保険金(生命保険金)と死亡退職金にはそれぞれ非課税枠があり、一定額までは相続税がかかりません。死亡保険金や死亡退職金は、ご遺族の生活を維持するために必要であることから、一定の金額が非課税とされています。
相続税の非課税枠は、以下の式で計算します。
■死亡保険金の非課税枠=法定相続人の数×500万円
■死亡退職金の非課税枠=法定相続人の数×500万円
相続人以外の人が受け取った保険金や退職金には、非課税枠を適用することができません。
また、生命保険契約に関する権利(解約返戻金や満期保険金等を受け取る権利)に非課税枠はありませんので注意が必要です。
死亡保険金と死亡退職金に対する相続税の非課税枠の計算では、法定相続人の数え方に注意が必要です。
●相続放棄はなかったことにして法定相続人を数える。
●養子について、実子がいる場合は1人のみ、実子がいない場合は2人まで法定相続人に加えることができる。
これは、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を計算するときと同じものです。
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