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2024.03.13
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Q. 贈与契約書は必ず作成した方が良いと聞いたのですが、本当でしょうか?
A. これ、お客様から聞かれる質問の中で、結構多い質問です。
質問数ランキングの上位入賞すると思います(知らんけど😅)。
「ザ・贈与」
贈与とはについては、吉澤先生にセミナーでも解説してもらい、「NEXUS」のコラムでも何度か取り上げています。
が、再び「贈与」について質問ですね。それも契約書について!!😄
NEXUSのことを知る人の中には、誰かにあげたくてしょうがない人がいっぱいいらっしゃるんですね~ 笑笑🤣🤣
では早速おさらいと参りましょう。もう一度条文の確認から。
民法549条
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思表示をし、相手方が受諾することによって効力を生ずる。
と記載されているとおり、財産を無償(タダ)で、相手方に与える(譲渡する)ことです。相手方との合意によって成立する諾成契約です。
財物が受贈者に渡ってから成立するのではなく、贈与が成立するのは「合意」ということであります。
条文のどこにも、「合意があった日付で贈与者、受贈者それぞれが契約書に署名し・・・」のような記載はありません笑。
何回も言います。贈与契約書を作成する義務はないので、契約書を作らずに贈与を行うこと自体は問題なし!! なのであります。
なぜ、贈与契約書は必ず作成した方が良いと聞いているのか?
契約書を作成せずに生前贈与を行うと後々トラブルに発展する可能性が高くなり、「契約書を作っておけば良かった…」と後悔するケースも多いためです。
実際どのようなトラブルが起こっているのか少しだけ解説させて頂きます。
贈与者・受贈者間でトラブルが起きる
言った言わないの世界で揉める可能性が高くなります。例えば、渡された金額が少なくて「もっとお金をくれるぅ言うてたやん」と主張した場合でも、契約書がないと「そんなん言うてへんし知らんがな」となって、どちらの主張が正しいのか確認できず解決できません。
他の相続人と相続トラブルになる
相続が開始したときに相続人が2人以上いれば、遺産の分け方を決める遺産分割協議を行います。遺産分割協議の対象となる遺産や遺産額を最初に確定させる必要があるのですが、このとき問題になりやすいものの1つに「生前贈与を行った財産」があります。相続では特別受益という考え方があり、故人の生前に、財産を贈与されて特別な利益を得た相続人がいる場合には、生前贈与財産の金額も考慮して遺産分割を行うことになっています。これは生前贈与によって特別受益を得た人だけが多くの財産を手にすることがないように、その他の相続人との間で公平性を保つための(特別受益の持ち戻し)制度です。生前贈与の中で何が特別受益に該当するのか、特別受益の金額をどのように計算するのかは判断が非常に難しく、相続人同士がバチバチに揉めることも少なくありません。
生前に財産を贈与されたときに契約書を作ってなくて、贈与の証拠やその内容を詳しく示せないと、他の相続人から「実際のとこアンタ!もっと多くの財産をもらってんちゃうん?超~怪しい🤨」と疑われる可能性があります。このような相続トラブルにならないためにも、贈与契約書を作成しておくことが大切だからです。
税務調査で生前贈与を否認される
税務調査の時に、生前贈与を税務署から否認されることがあります。例えば、生前に被相続人が相続人の預金口座にお金を振込んで贈与していた場合に、税務署が贈与ではなく単なる貸付金の振込みや「名義預金」とみなしてくるケースです。口座の名義人の財産ではなく故人の財産とみなされると、相続財産として相続税が課されてしまいます。このとき生前贈与時に作成した贈与契約書を提示できれば、生前贈与があったことを税務署に対して主張できます。しかし、贈与契約書を作成しておらず、贈与額が少額で贈与税の申告もしていなかったような場合には、契約書や申告書など生前贈与の証拠を提示できず贈与自体を否認される可能性が高くなります。せっかく節税対策として行った生前贈与が無駄になってしまうので、税務調査対策の観点からも生前贈与では契約書を作るようにしておいた方が望ましいのではないでしょうか?
⚠ここでちょっとだけ深堀ポイント
実は、上の方で解説した民法549条の次、民法550条の条文には、「書面によらない贈与は、各当事者が解除することができる。ただし履行の終わった部分についてはこの限りではない。」と書いてあります。
この条文の文頭に“書面によらない”とあえてわざわざ書いてあるということは、贈与の基本は合意&書面なんですよと言うわけかなぁと思う今日この頃皆様いかがお過ごしでしょうか。デス。普段の生活の中で、何かをあげたり、もらったりということは、すごく頻繁に行われています。NEXUSのオフィス内においてもそうなんですが、例えば、ペン1本や消しゴム1個であっても、「あげる」・「もらう」という口頭でのお互いの意思が成立することで、贈与契約となるのであります。もちろん、この贈与契約を書面にすることもできます(面倒くさ過ぎるやろ~)。ペンや消しゴムなどのように安価なものであれば、問題になることは少ないと思われるのですが、例えば不動産を贈与するということであれば、その贈与契約を書面にするのではないでしょうか。
贈与契約を書面にしていない場合、たとえ「あげるょ」・「もらうょ」「おおきに」の意思表示が成立していても、それぞれの当事者が後でその意思表示を撤回することができるのです。「この時計をあげるね」と言ったとしても、気が変わって「やっぱりやぁめた」ということも可能になります。ただし、すでにあげてしまったものに関しては、後で気が変わったとしても、それを取り返すことはできません。
一方で、「書面による贈与」では、履行前であってもその贈与契約を撤回することはできません。(合意解除はまた別な話)
ただ贈与が書面・口頭のいずれによって行われた場合でも、錯誤・詐欺・強迫によって贈与の意思表示を行った場合、その意思表示を取り消すことが認められています。(だんだんと深みに嵌っていきそうな気配を感じるので今回はこの辺で🙄)
次回Q&A⑰では、「贈与契約書」にどんなことを書くのが良いか解説します。
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