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2024.03.29
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遺留分を侵害された場合に、遺留分を取り戻すことができる権利のことを「遺留分侵害額請求権」といいます。2019年7月に改正民法が施行されるまでは、遺留分減殺請求権といわれていました。
遺留分減殺請求権では、現金だけでなく不動産なども遺留分として返還請求できましたが、遺留分侵害額請求権では遺留分相当額の現金を請求することになったところが大きな違い目であります。
例えば、相続人である配偶者には相続させず、「子ども2人にすべてを相続させる」といった内容の遺言書を作成したとしても、配偶者は遺留分として相続財産の4分の1を請求できる権利があります。(なんで 1/4なん?😕 ってなった方は前回のブログをご覧くださいませ)
この場合、配偶者は子ども2人に対して、遺留分侵害額請求を行って遺留分を取り戻すことが可能です。仮に子ども2人の相続財産が不動産のみだった場合でも、遺留分については現金で配偶者に支払わなければなりません😲
遺留分侵害額請求権には、実は「消滅時効」という期限があります。消滅時効期間はかなり短めに設定されておりまして、実際に請求する際には早めの早めの対応が必要となりますのでご注意下さいませ。遺留分侵害額請求の時効に関するルールは、相続法や債権法の改正が複雑に絡み合っていますが、今回のブログでは「相続」に関係しそうなところにフィーチャーした内容で、皆様に出来る限り分かり易く整理して解説したいと思います。
遺留分には2つの請求期限がある
遺留分侵害額請求権には、「消滅時効」(しょうめつじこうと読みます)と「除斥期間」(じょせききかんと読みます)が設定されております。
まずは、それぞれの言葉の意味から説明していきますね。
●消滅時効・・・債権者が民法上で定義された一定期間(5年間もしくは10年間)権利を行使しなかった場合に、債権を消滅させることができる時効制度のことです。(例えば、債権者(お金を貸している人)が債務者(借りている人)に対して一定期間「早よ返してちょうだいょ~」と請求しなかった場合に、消滅時効は完成します。)
●除斥期間・・・権利や法律関係の早期で速やかな確定を目的として、一定期間の経過によって、権利が当然に消滅する制度のことです。
⚠ここからがポイント
消滅時効には「援用」が必要です。 債務者が債権者に対して(任侠映画に出てくる関西のオッサン風🗣にいうと)「あんたがワシに、借金のこと返せ!と言うて請求してこんかったさかい、ワ、ワシの消滅時効が完成しよったちゅう訳やわい! ガハハハッ絶対返せへんぞ~🏃♂️」と意思表示(実際は債務者が内容証明郵便を債権者に送付)して初めて借金が消滅します。この意思表示のことを「時効の援用」と言うのであります。
除斥期間には「援用」は必要ありません。期間が経過⏲したら問答無用で権利消滅です。
(1) 時効期間は起算点から1年
遺留分侵害額請求の時効期間は、「相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年」です(民法1048条)。
「相続の開始」と「遺留分を侵害する贈与または遺贈があったこと」の両方の事実を知ったときが消滅時効の起算点となります。たとえば被相続人の死後、3年経ってから生前贈与の事実を知った場合には、その贈与を知った時点から時効期間が進行します。時効期間が経過した場合には、遺留分侵害者が時効を援用することにより、遺留分侵害額請求が認められなくなります。
(2) 除斥期間は10年|援用不要で問答無用自動的に消滅
「相続開始の時から10年」経過した場合にも、遺留分侵害額請求権は消滅します(民法1048条)。
仮に、遺留分を侵害する贈与があった事実を知らずに消滅時効が成立していなくても、相続開始から10年経過すると請求権は消滅するのであります。
なので、「しばらく疎遠になっていた」など色んな事情で「亡くなったことを知らなかった」という場合でも、相続開始から10年経ってしまうと遺留分請求権を行使できなくなってしまいます。相続開始の時から10年が経過した場合には、「財産をもらい過ぎて、めちゃくちゃ有利な相続人がいることに気付いたので助けてください」と裁判したとしても遺留分侵害額請求が認められることはありません。
実際には、除斥期間より時効期間が先に経過するケースが多いそうですが、被相続人の死後、長期間が経過してから遺留分侵害が判明したケースでは、除斥期間の経過に対しても注意が必要ということですね。
遺留分が侵害されていると分かってから時効までは1年しかありません。1年って長いようで短いのは皆さんよくご存知だと思います。
の~んびり悠長に構えているとあっという間に時効を迎えてしまいます😓(子どもの頃の夏休みのようなものでしょうか😁)
これを防ぐためには、どうすりゃ良いの? 「社長、早くぅ~! 教えてぇ~!! 社長~!!!(夢グループのCMに出てくる保科さん風)」
次回、この辺りを中心に解説したいと思います。
民法って深~い!(心の叫び😅)
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