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2024.03.31

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遺留分の計算に、生命保険金は含めるのか?

「生命保険金は受取人の固有の財産」だということは、以前にも何度かお伝えしていますよね😄
なので、原則として遺留分の計算には含まないのであります。
なぜなら、遺留分とは「相続財産」に対する最低限度の保障のことなので、受取人の固有の財産である生命保険金は相続財産ではないので含まないということであります。

● 生命保険金を受け取っていても相続できる

相続人が受取人として生命保険金を受け取っていても、相続財産は相続することができますよね。
例えば、被相続人(亡くなった人)の長男が生命保険金を受け取っていたとしても、遺言書や遺産分割協議により相続財産を相続することはできるじゃないですか。
なのであくまでも、生命保険金を受け取ることと、遺産を相続することは別の話ということになります。

● 受取人も遺留分侵害額請求ができる

受取人(相続人)が生命保険金を受け取っていても、遺留分を侵害されていれば、当然にして遺留分侵害額請求をすることはできます。
なぜなら、何度も言いますが、生命保険金は相続財産ではないので、相続人として遺留分を請求することは別の問題だからです。
生命保険金を受け取ったからといって、遺留分が無くなる訳ではないのであります。

 

原則があれば例外もある

生命保険金を遺留分の計算に含めないことで、他の相続人との間で著しく不公平が生じることも考えられます。
以下は過去の裁判で生命保険金について争った際の要旨です。

被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが、保険金の額この額の遺産の総額に対する比率保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係各相続人の生活実態等の諸般の事情総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて持戻しの対象となる。

出展:最高裁判所 平成16年10月29日 判決

分かりやすく解説しますと・・・
生命保険金は受取人固有の財産なので遺留分の対象ではないですよ。ですが、相続人間の不公平がびっくり仰天してしまうぐらいに際立つと評価すべき特段の事情があれば、生命保険金も計算の対象とする場合があるので覚えておきなさいよ。
という感じです。

つまり、特段の事情があると認められれば、生命保険金も遺留分の対象となる可能性があるぞ。と言っているのであります。
ちなみに、上記の裁判では特段の事情がなかったとして、生命保険金は遺留分の計算には含まれなかったようです。

特段の事情があるかどうかは総合的に判断されます。

  • 保険金の額
  • 相続財産全体に占める保険金の割合
  • 保険金の受取人と亡くなった人の関係
  • 他の相続人と亡くなった人の関係
  • 亡くなった人と同居していたか
  • 介護等に対する貢献の度合い
  • 各相続人の生活実態

などなど、これらの事情を含めて総合的に判断されます。
受取った生命保険金の額が高額だからといって認められるわけではないのであります

 

まとめますと

生命保険金は遺留分の計算には含みません。なぜなら、生命保険金は相続財産ではなく、受取人の固有の財産だからであります。
ただし、生命保険金を受け取ることにより、相続人間で著しく不公平が生じる場合には、特段の事情を考慮して遺留分の計算に含む場合もあります。
特段の事情は金額だけではなく総合的に判断されますので、著しく不公平であったとしてもケースバイケースなんです。
ケースバイケースってどんな時ですか? 知らんがな!! です🙇‍♂️

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