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2024.04.30

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生命保険の死亡保険金受取人が死亡している場合③
【難易度】★★★★☆

今回は、同時死亡(同時死亡の推定)の場合について解説します。
保険金受取人が死亡しているケースの3連チャン目であります😁(鬼レンチャンレベル10ではありません🙄)

先ずは言葉のお勉強と参りましょう😀

同時死亡の推定とは

民法 第三十二条の二  数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

実は昭和37(1962)年に、民法にこの条文が追加されております。
それまでは火災や交通事故等によって複数の親族が死亡されたような場合、死亡時期の前後の立証が非常に困難だったので、事実上は相続財産を先占した人が優位となる結果(早い者勝ち)だったそうです。(ここでは「シャ」と読んではいけません。関西弁風には「モン」と読むのであります😁)
多くの死亡者を出した、青函連絡船「洞爺丸」の海難事故(1954年 死者1,155人)や、伊勢湾台風(1958年 死者4,697人)などの際に、遺された相続人の相続権(相続割合)に、死亡の順序が極めて大きく影響したのが背景だそうです。

もう一度、さきほどの条文をお読みいただきたいのですが、同時に死亡したと推定されるためには、「複数の人が何らかの原因で死亡し、これらの者の死亡時期の前後が不明な場合である」ということが分かります。つまり同時であれば同一の事故・災害かどうかは関係がないということであります。例えば、長男が、雪山の遭難等で生死が不明なときに、その母親が死亡、後に長男の死亡が確認されたが、母親死亡との先後が不明であるような場合です。

ちなみに
○○とみなすと言うような「みなし規定」ではなく、あくまでも推定規定ですので、何らかの形で死亡の先後が判明することとなった場合には、推定は覆され当事者間の相続は当然に開始されるのであります。

同時死亡の推定が起こった時

同時に死亡したと推定されることになりますと、『死亡した当事者間では互いに相続は開始しない』ということになります。つまり、お互いの存在がないものとして相続割合を決めます。
以下のようなご家族で見ていきます。

仮に、本当に仮にですよ。 交通事故で不幸にも夫と長男が亡くなったとします。どちらが先に亡くなったのかは分かりませんでした。
同時死亡の推定により、夫と長男の2人が同時に亡くなったものと考えた場合の相続割合はどうなるのかと言いますと、
先ず、夫が亡くなった場合の相続については、長男がいないものとして見ていきます。
ですので、夫の財産を相続するのはとまだ赤ちゃんの二男となるのであります。(その割合は、妻1/2、二男1/2 となります)
次に、長男が亡くなった場合の相続については、長男の父(夫)がいないものとして見ていきますので、母である妻が全ての財産を相続することになるのであります。
👉ここからが重要ポイント 【同時死亡の推定が起こった場合には、代襲相続が発生する場合もある。】

契約者(=被保険者)と保険金受取人の同時死亡の場合


例えば上図のようなケースで解説します。
保険契約者=被保険者)と死亡保険金受取人)が、仲良く2人で旅行中に大事故に巻き込まれてしまいました。
救急車が到着した時にはすでに2人とも心肺停止状態だったそうです。どちらが先に亡くなったかは分かりません。
このような同時死亡(または同時死亡と推定される)の場合には、夫の死亡保険金は誰が受取れるのでしょうか?
同時死亡の推定では、お互いに相続しない(お互いに存在しない)という民法の考え方を採用しておりますので、妻の相続人として、上図の場合には、父Bおよび母Bが、受取人固有の権利を均等に相続するのであります。

ここでちょっと【お口直し】として難読カタカナが登場する「最高裁判決の要旨」をどうぞ☕😁

【お口直し①】(平成5年9月7日  最高裁判所第三小法廷)

一 商法六七六条二項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」とは、保険契約者によって保険金受取人として指定された者の法定相続人又は順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に生存する者をいう。
二 生命保険の指定受取人の法定相続人と順次の法定相続人とが保険金受取人として確定した場合には、各保険金受取人の権利の割合は、民法四二七条の規定の適用により、平等の割合になる。

👉ここでいう法定相続人は民法の規定(民法882条)に従って確定されるべきもので、指定受取人の死亡の時点で生存していなかった者はその法定相続人になる余地はない。のであります。

【お口直し②】(平成21年6月2日 最高裁判所第三小法廷)

生命保険の指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合において、その者又はその相続人は、商法676条2項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」には当たらない。

と言うわけで、全然口直しちゃうやんか~!! と聞こえてきそうであります😅
生命保険契約の中身(誰が受取人になっているか等)については、是非一度この機会に見直ししてみて下さい。

「生命保険金受取人の死亡」の巻は「」であります。

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