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2025.06.20

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超々~ 久しぶりの民法解説であります😅
混同」と聞くと、「何かを間違えること?」と思われるかもしれません。
しかし、民法179条における「混同」は、法律上きちんと定義された現象のことであります。
今回は、この“混同”について、法律的な意味と実務での場面、実際の裁判例を交えてわかりやすく解説します😄

民法179条「混同」とは?

条文の確認から、まいりましょう。

民法第179条
債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、混同によって消滅する。

つまり、ある債権とそれに対応する債務が、同じ人物に属するようになった場合、その債権債務は消えてなくなる、ということです。

■ 混同の具体例

【例】 相続で起きる混同

父が息子に100万円を貸していたとします。
その後、父が亡くなり、息子が父の全財産を相続した場合——
この100万円の「貸していた債権」と「借りていた債務」が、同じ息子に集中します。
このとき、借金は消滅します。これが「混同」による消滅です。

【実際の裁判例】

① 混同が成立した典型例(単独相続)東京高等裁判所 昭和63年12月26日判決

この事案では、被相続人(父)が生前に長男へ貸し付けていた金銭債権が、被相続人の死亡により長男に相続されたことで「混同によって消滅した」と判断されました。

長男は父の単独相続人であり、他に相続人がいなかったことから、債権者(父)と債務者(長男)が同一人物となったとされました。

裁判所は「債権と債務が同一人物に帰属したことによって民法179条が適用され、当該金銭債権は混同により当然に消滅した」と明確に判断しています。

この判例は、「単独相続により混同が成立する」ことを明示した典型的な事例といえます。

混同が成立しなかった例(共同相続)最高裁判所 平成10年3月24日第三小法廷判決

事案は、母親が死亡し、その金銭債権を息子2人が相続したケース。
うち一人の息子が債務者でもありましたが、他の相続人と“共有”で債権を相続していたため、混同は成立しないと判断されました。

裁判所は「債権が共有されている状態では、債権者と債務者が完全に同一とはならない」とし、混同を否定。
複数人で相続した場合、債権は共有財産となるため混同は成立しない点に注意が必要です。

会社の合併による混同(法人の事例)東京地裁 平成19年5月22日判決

この事例では、親会社が子会社に対して貸し付けを行っていたが、両社が合併し、債権者・債務者が同一法人となりました。
この結果、親会社が有していた貸付債権は混同によって消滅したと認定されました。

裁判所は「会社合併により、債権者と債務者が合一すれば、債権は混同により当然に消滅する」と判示。
法人の世界でも、合併や組織再編の際には混同のリスク(または活用)があることが分かります。

混同が起きるときの注意点

  • 全部相続か、一部相続か:相続で混同が成立するのは「単独相続」の場合。複数人で相続した場合は、債権は共有状態になり、混同は原則として起こりません。

  • 混同は“不可逆”:いったん混同で債権が消滅したら、それを復活させることはできません(特約等がない限り)。

  • 税務上の影響:混同による債権消滅は、贈与や債務免除と異なり課税関係が発生しないケースが多いですが、実態に応じて税務署の判断が入ることもあります。

なぜ“混同”を知っておくべきなのか?

混同の概念はあまり馴染みがないと思いますが、相続・債務整理・会社法務など、さまざまな場面で密かに影響を与えているのであります。

  • 債権が消えたのに請求を続けてしまった

  • 遺産分割で「混同が成立しているかどうか」で揉めた

  • 会計上、債権が残っていると誤認した

こうしたトラブルを避けるためにも、「混同=債権と債務が同一人に帰属すると消滅する」というルールを知っておくことは重要です。

民法179条の「混同」は、あまり話題にのぼりません。ただぁ~ 実は身近な法律概念なんです。
特に相続では、財産の分配や債務処理に直接影響するため、しっかりと理解しておきたいところ。
「誰が何を相続するか」で、思わぬ形で債務が消えてしまうこともある——
これを知らないと、損することもあるかもしれません。知らんけど😁

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