NEXUS NEXUS

コラム / セミナー案内

COLUMN / SEMINAR

イラスト
雲のイラスト
イラスト
雲のイラスト
雲のイラスト

2024.05.07

ブログ

今回は、遺言の方式について深堀していきます。

ちょっとその前に、遺言(いごん)って何歳から書けるのかご存知ですか?
これ民法961条に、「十五歳に達した者は、遺言をすることができる。」とキチンと明記されているのであります。
未成年者であっても遺言をする時においてその能力を有していれば書けるんですねぇ~😲

 

遺言の方式
【難易度】★★☆☆☆

条文を見てみたいと思います。
民法第九百六十七条 遺言は、自筆証書公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

遺言には、普通の方式特別の方式2種類があります。

普通の方式

普通の方式の中には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」3つの種類がありまして、それぞれどのように違うのか解説していきます。

「自筆証書遺言」

簡単に言いますと、全文を自分で書く遺言のことで、「遺言をする人が民法の規定に則り自分で書いた遺言」のことであります。
自筆証書遺言は一人で手軽に書いて全然OKです👍 ただその反面、要件等が厳格に定められておりまして、要件を満たさない遺言は遺言としての効力を有しないのであります。
自筆証書遺言の要件としましては、遺言の全文、日付及び氏名を自書し、印を押さなければならないという点です。遺言に添付する財産目録については、ワープロなどを用いて作成することが認められていますが、その場合でも、遺言者はその目録のページ毎(自書によらない記載がその両面にある場合には、その両面)に署名し、印を押す必要があります。
自筆証書遺言(目録を含みます)の訂正はどうするのかと言うと、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押すことによって行えます。
この訂正が要件を満たさない不備のあるものである場合であっても、遺言そのものは効力を生じ、不備のある訂正のみが無効となるのであります。
実際、遺言作成する費用も掛かりませんし、最も利用されている方式であります。ただ、どこに保管しているか分からない(見つからない・紛失してしまった・存在に気付かない)などのリスクもあります。
こうした問題点を解消するために、自筆証書遺言を法務局で保管する制度が、令和2年(2020年)7月10日からスタートしているのであります。 👉 遺言書保管制度はこちら(法務省)

👉遺言のちなみになる話
遺言書に押す印鑑は次のうちどれが正解でしょうか?
① 実印
② 認印
③ シャチハタ印
④ 拇印(親指の腹のところに朱肉を付けてから、それをギュ~っと押すアレです😅)

正解はブログの最後に!!

 

「公正証書遺言」

公証役場(原則)で、公証人と証人の立ち会いのもと作成する遺言のことです。
原則としましたのは、公証人に出張してもらうこともできるからであります。なので自宅や病院等でも作成できますが費用(日当や交通費)が余計に掛かりますよ。

公正証書遺言の具体的な手続き要件は以下の通りとなっています。
1.証人二人以上の立会いのもと
2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する
3.公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させる。
4.遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押す。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
5.公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押す。

なお、公正証書遺言の方式の特則(969条2)として、口がきけない者による遺言の場合、上記の要件2にある「口授」を「公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、または自書によって」に代える必要があり、要件3にある「口述」は「通訳人の通訳による申述又は自書」に代える必要があります。
また、遺言者または証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は要件3にある「読み聞かせ」を「同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝える」ことに代えることができるとされているのであります。

正証書遺言のメリットは、なんと言っても遺言の原本が公証人役場に保管されるため紛失や偽造等の心配がない点や、遺言の形式に公証人(=裁判官や検察官あるいは弁護士として長年法律実務に携わった者で、公募に応じたものの中から、法務大臣が任命)の関与がありますので無効事由が発生する可能性が極めて低い点などであります。

 

「秘密証書遺言」

わかりやすく言います。遺言書の内容を秘密にして、遺言の存在だけを公証人と証人に証明してもらう遺言です。

自らが書いた署名・押印のある遺言証書を封筒に入れ証書と同じ印で押印し、それを公証人と2人以上の証人に差し出し、自己の遺言書であることと住所氏名を申述し、公証人による提出日・遺言者の申述の封筒への記載を経て、公証人・証人・遺言者の封筒への署名押印をもって成立する形の遺言であります(970条)。
もちろん公証人手数料として一律11,000円が掛かりますょ😄

秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同じで遺言書の中身自体は自分で作成するのですが、遺言書の封印や公証人の関与、公証人による封筒への日付の記載がありますので、自筆証書遺言とは違って遺言書全文の自筆や日付等の要件は定められていません。つまり内容のところはパソコンで作成しても代筆で作成してもOKであります。(代筆者には内容バレます笑)
保管は、ご自身で自宅や貸金庫に保管するのが一般的です。
また、秘密証書遺言は、秘密証書遺言としての要件を満たしていない場合でも、その遺言が自筆証書遺言としての要件を満たしている場合には、自筆証書遺言としての効力を有することになります(971条)。つまり、できれば自筆で作成しておく方が無難と言うことであります。その他秘密証書遺言にも、公正証書遺言と同様に口がきけない人による秘密証書遺言の方式の特則(972条)が定められています。
結局のところ、他の遺言に比べると秘密証書遺言にはあまりメリットがないことをお知らせしておきます。

 

今回のブログでは、遺言に書かれた内容通りの効力を発揮するためには、その形式が結構厳しいことがお分かりいただけたと思います。
法的要件を満たした遺言を書いておきたいと思ったそこの貴方!! NEXUSへお越し頂ければ、専門家の先生をご紹介します。

それでは先ほどのクイズの【正解】です。
遺言に押す印鑑、①②③④どれでもOKであります
ただ、実印で押印することをおススメします。誰かに偽造されにくいですから笑

次回は、遺言「特別の方式」です。(ハッキリ言って雑学編であります😄)

NEXUS

家族や資産の大切な繋がりを尊重し、
安心感溢れる円満な相続をサポートする
プロフェッショナル集団です。