コラム / セミナー案内
COLUMN / SEMINAR
2024.05.25
ブログ
遺言執行者 PART Ⅱ
【難易度】★★★☆☆
ん? 赤く塗りつぶしてない☆があるじゃないですか? 気付きましたか?
そうです今回は、★3.5であります🤣🤣(☆を半分塗りつぶす方法をご存知の方、教えてください🙄)
では遺言執行者の役割や権利、義務を説明してまいりたいと思います。
遺言執行者の役割
遺言執行者は、「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と【民法1012条】に明記されています。
と言うことは、遺言書に書かれている内容を実現するためには、遺言執行者は必要となるすべての行為ができるということであります。
遺言書の内容を実現するには、遺言執行者がいたほうがスムーズとなる手続きと、遺言執行者がいないとできないものがあります。
●遺言執行者がいるとスムーズな(遺言執行者がいなくてもできる)手続き
「遺贈登記」
たとえば、遺言に「A不動産をFPS太郎に遺贈する。」という内容が書かれていたとします。この場合ですと、遺言執行者がいない状態で遺贈による所有権移転登記を実現するためには、原則として、相続人全員の協力が必要となります。(なるほど、FPS太郎は相続人じゃないということですね😄 相続人以外の者に渡す遺言ですので「遺贈」と書かれているのですね。これブログ「遺言エトセトラ④」で解説しました。FPS太郎は誰かの兄弟か、はたまた誰かの内縁の夫かも知れないですね笑)
ですので、例えば相続人が遠方にいらっしゃる場合や認知症となられている場合などでは、手続きを進めることが極めて困難となることが予想されます。それ以外にも、相続人のなかに遺贈に納得しない人がいるかも知れません。そうなると印鑑を押してもらえず、手続きが止まってしまうことも・・・であります😨
一方で、遺言執行者が指定されていれば、受遺者と遺言執行者のみで登記の申請ができますので、手続きが非常にスムーズに進むことになるのであります。
「預貯金の解約払戻し手続き」など
銀行によっては、遺言書があっても遺言執行者がいない場合には、相続人全員の協力(署名や捺印など)を求められることがあります。また、たとえば、遺言で「A銀行の預金のうち3分の2をFPS一郎に相続させ、3分の1をFPS二郎に相続させる」などと書かれていた場合、遺言執行者がいない状態で実現しようとすれば、原則として、FPS一郎さんとFPS二郎さんが協力して手続きを進めなければなりません。
一方、遺言執行者を定めていた場合には、遺言執行者が預金の解約手続きなどを行って、その後遺言の内容に従って分配することになりますので、手続きが非常にスムーズとなります。
●遺言執行者でなければできない手続き
次の内容の遺言は、遺言執行者がいなければ実現することができないのであります。
- 推定相続人の廃除:被相続人に対して虐待などをする相続人を、相続人から除外する手続き【民法892条、893条】
- 推定相続人の廃除の取消し:被相続人が生前に廃除した相続人について、廃除を取り消す手続き【民法894条】
- 認知:婚外子を自分の子どもであると認める手続き【民法779条、781条、戸籍法64条】
ですので、遺言書にこのような内容が書かれていたにもかかわらず、遺言執行者の指定がなかった場合には、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらわなければなりません。
遺言執行者の主な義務
遺言執行者には、遺言の内容を実現するために多くの権限が与えられていますが、その一方で多くの義務も定められているのであります。
「遺言執行者は、その就任を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない」【民法1007条】、とされておりまして遺言執行の放置プレーはできないのであります。
👉ちなみになる話
遺言書で遺言執行者に指定されたからといって必ずしも就任する必要はありませんよ。「わぁ~めっちゃ大変やん、重荷やわ~」と判断された場合には、辞退することも可能です。
ところが、いったん遺言執行者への就任を承諾してしまいますと、以降勝手に辞任することはできなくなり、辞任をするためには家庭裁判所の許可を得なければならなくなります【民法1019条】。
ですので、あらかじめ遺言執行者の義務を知り、就任を承諾するかどうかをジックリと慎重に落着いて検討することをおススメしているのであります。
遺言執行者が遵守(じゅんしゅと読みます)すべき主な義務は、次のとおりとなってます。(めっちゃいっぱい有りますょ😵)
●遺言内容の通知義務
遺言執行者は、任務の開始後遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない【民法1007条】。
遺言書で遺言執行者に指定をされていた場合には、就任した旨の通知とともに遺言書のコピーを送付することなどです。
なお、通知すべき相手は「相続人」とされているため、遺言書で何も遺産を相続しない相続人も含め、相続人の全員に対して通知しなければなりません。
すべての相続人へ遺言書の内容を通知することで、遺留分侵害額請求(相続での最低限の取り分を侵害された場合の金銭請求)の機会を与え、後々のトラブルへ発展することを防ぐためです。
●財産目録の作成・交付義務
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない【民法1011条】。
こちらも遺言内容の通知と同じく、遺言書による財産取得の有無にかかわらず、相続人全員への交付が必要です。
●善管注意義務
遺言執行者には、善管注意義務がある【民法1012条、644条】。
善管注意義務とは善良な管理者の注意義務のことで、自分のものを管理するよりも一段高い注意義務が課されているということであります。
●経過と結果の報告義務
遺言執行者には、次の2つの報告義務が課されている【民法1012条、民法645条】。
・相続人から請求があった際に、事務処理の状況を報告する義務
・執行の終了時に、遅滞なくその経過と結果を報告する義務
●受取物の引き渡し義務
遺言執行者は、遺言執行にあたって受け取った金銭その他の物を、相続人などに引き渡さなければならない【民法1012条、民法646条】。
遺言執行者は業務の遂行にあたり、関係者から金銭や物を預かる機会が少なくありません。これは単に預かっているだけですので、当然、相続人などに引き渡すことが必要です。
義務、義務、義務、義務であります!!😅
民法、民法、民法、民法であります!!😅😅
条文RUSHであります!!😵
家族や資産の大切な繋がりを尊重し、
安心感溢れる円満な相続をサポートする
プロフェッショナル集団です。