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2024.05.30

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遺産分割前の相続預金の払戻し制度とは?
【難易度】☆☆☆☆

遺産分割の対象となった、いわゆる「相続預金」。その払戻しについて解説します。
えっ? 預金口座が凍結して引き出せなくなると聞いたことがある方も多いと思います。
ですが、その前にちょっとだけ民法のお勉強であります😅

👉ちなみになる話

最高裁平成28年12月19日大法廷決定で、今までの判例を変更して預貯金債権が遺産分割の対象に含まれるとの判断を示し、預貯金債権については、遺産分割までの間は、共同相続人全員が共同して行使しなければならないと言うことになっていたのであります。
ところが、共同相続人の中には被相続人が負っていた借金(債務)の弁済をしなければならない等の理由で、預貯金を遺産分割前に払戻す必要が生じたケースがあったのであります😁

【民法 第909条の2】(遺産の分割前における預貯金債権の行使)

各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

 

このように、平成30年の民法改正で、各相続人は相続預金のうち、口座ごと(定期預金の場合は明細ごと)に、家庭裁判所の判断を経る必要なく金融機関から単独で払戻しを受けることができるようになりました。
ただし、
同一の金融機関(複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)からの払戻しは、150万円が上限になります。
遺産分割の終了前であっても、各相続人が当面の生活費や葬儀代の支払いなどのためにお金が必要となった場合に、相続預金の払戻しが受けられるようになっています。

 

計算式【難易度★☆☆☆☆】
(分数の掛け算なので☆1.5くらいであります😁)

単独で払戻しを受けられる金額  =
相続開始時の預金額(口座・明細ごと) ×  1/3 × 払戻しを求める相続人の法定相続分

 

【払戻しを希望する相続人の法定相続分が1/2のケースで見てみましょう】
相続開始時の預金残高が、普通預金 600万円、定期預金 720万円の場合の払戻可能金額を計算してみますと、
600万円×1/3×1/2=100万円
720万円×1/3×1/2=120万円
合計220万円となりますが、上限が150万円ですので、正解は150万円ということであります😄

この制度を利用するにあたっては、預金の払戻しを請求される方が相続人であること、および払戻し請求をされる方の法定相続分が確認できる書類が必要となっております。

亡くなられた方の戸籍謄本(原本)
発行より1年以内のもので、生まれた時から亡くなられた時までの連続した戸籍謄本をご準備ください。

すべての相続人の戸籍抄本または戸籍謄本(原本)
発行より1年以内のもので、お亡くなりになった方との関係がわかる戸籍抄本または戸籍謄本をご準備ください。
(亡くなられた方の戸籍謄本で確認できる場合は不要です。)
例えば、相続人が兄弟姉妹の場合、被相続人のご両親の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本も必要となります。
戸籍謄本に代えて「法定相続情報一覧図の写し」(原本)をご提出される場合には、一覧図の作成日から1年以内のものをご準備ください。

払戻しを希望される相続人さまの印鑑登録証明書(原本)
発行より6カ月以内のものをご準備ください。

取引金融機関によって、必要書類が異なる場合がありますので、ご注意下さいね😅

なお、書類を提出された後、ソッコーで払戻されるわけではないようです。
相続預金の払戻しまでには、内容の確認等のために一定の時間を要しているそうであります。
提出された戸籍謄本等で払戻しを希望される相続人の法定相続分が確認できないなどの理由で、追加で書類の提出が必要な場合や、払戻しをお断りされる場合もあるそうです😲

詳しくは、遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内チラシ をご確認下さいませ。

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