2026/10/7

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「下がってきたから、怖くなって売ってしまった」
「損している商品を、なかなか手放せない」
「少し利益が出ると、減ってしまうのが怖くて確定したくなる」
資産運用をしていると、こんな気持ちになることがあります。
頭では「長期投資が大切」と分かっていても、自分のお金が実際に減ると、なかなか冷静ではいられません。
実は、これは珍しいことではありません。
こうした人間の心理を理解するうえで役立つのが、「プロスペクト理論」です。
今回は、プロスペクト理論と資産運用の関係、そして相場に一喜一憂しすぎないための考え方をご紹介します。
プロスペクト理論とは、利益や損失を前にしたとき、人は必ずしも合理的に判断するとは限らないことを説明する理論です。
1979年に、ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって発表されました。
重要な考え方の一つが、「損失回避」です。
たとえば、「1万円もらった」ときのうれしさと、「持っていた1万円を失った」ときのショック。
同じ1万円でも、一般に人は「得したうれしさ」よりも「失った痛み」を強く感じる傾向があります。
そして、この心理は資産運用にも影響します。
たとえば、10万円で購入した金融商品が12万円になると、
「減る前に売っておこう」
と思うかもしれません。
反対に8万円になると、
「今売ったら損が確定してしまう」
「もう少し待てば戻るかもしれない」
と考え、そのまま持ち続けたくなることがあります。
このように、利益が出ているものは早く売り、損失が出ているものは長く持つ傾向は、行動ファイナンスで「ディスポジション効果」と呼ばれます。
もちろん、利益を確定することも、値下がりした商品を保有することも、それ自体が悪いわけではありません。
大切なのは、「自分の投資方針で判断しているのか。それとも『損をしたくない』という感情だけで判断しているのか」を分けて考えることです。
老後資金なのか、住宅資金なのか、10年後、20年後に使うお金なのか。
相場が動いたときこそ、「そもそも何のために運用しているのか」に立ち返ることが大切です。
長期で資産形成をしていても、毎日の値動きを確認していると一喜一憂しやすくなります。
SNSなどの情報も参考にしながら、その情報が自分にも当てはまるとは限らないという視点を持つことも大切です。
運用の目的や期間、資産状況など、自分自身の状況に照らして考えてみましょう。
相場が大きく動いてから「どうしよう」と考えると、感情が判断に影響しやすくなります。
比較的冷静なときに、目的や運用期間、資産配分などを整理しておきましょう。
家族構成や収入、ライフプランが変われば見直しも必要です。大切なのは、相場の変動だけを理由に、その場で運用方針を変えないことです。
資産運用では、
「今は株高だから待った方がいい?」
「円安の今から始めても大丈夫?」
「どの商品がいい?」
と、市場環境や商品選びに目が向きがちです。
未来の相場を正確に予想することはできません。
でも、自分が相場の変化にどう反応しやすいのかを知ることはできます。
相場が下がれば不安になる。利益が出ればうれしい。資産が減れば怖くなる。
それが人間です。
一喜一憂しないというのは、何も感じなくなることではありません。
自分にもそんな心理があると知ったうえで、目の前の値動きだけではなく、「何のために資産形成をしているのか」に戻ること。
それが、長く資産運用と付き合っていくための一つの考え方です。
関連記事 ▶ 「何を買うか」より大切なこと|FPSマネーセミナーで学ぶ長期資産形成の考え方
お金は、人生の目的ではありません。
人生を豊かにするための、大切な道具です。
FPSでは、金融商品だけを見るのではなく、「これからどんな人生を送りたいのか」「いつ、何のためにお金を使いたいのか」というところから一緒に整理し、その方に合った資産形成を考えています。
「今の運用方法で大丈夫かな?」
「NISAは始めたけれど、この先どうしたらいいのか分からない」
そんなときは、一度立ち止まって、自分のお金とこれからについて考えてみるのも一つです。
参考文献・参考情報
・Kahneman, D. & Tversky, A.(1979)“Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk,” Econometrica, Vol.47, No.2, pp.263–291.
・The Nobel Prize「The Prize in Economic Sciences 2002」
・金融庁「資産形成の基本」
(FP00367)