2026/08/28

大阪から広島まで約40分!?江戸~明治の「旗振り通信」がすごかった

 

 

前回のコラムでは、FPSのオフィスから徒歩約10分の場所にある「大阪取引所」を見学し、

堂島米市場や株式市場の成り立ち、昔の取引所で使われていたハンドサインなどをご紹介しました。

 

前回のコラムはこちら:
「大阪取引所を見学!北浜で学ぶ株式市場とお金の歴史」

 

今回は、その続きです。

大阪取引所の見学の中で、私が特に印象に残ったのが「旗振り通信」でした。

皆さまは、旗振り通信をご存じでしょうか。

私は今回の見学で初めて詳しく知りました。

 

スマートフォンも電話もない時代に、相場情報をどう伝えたのか

 

時代は江戸時代から明治時代。

当然、スマートフォンもインターネットもありません。

電話すらない時代です。

しかし、商人たちにとって、

「今日、大阪で米はいくらで取引されているのか」

という情報は、とても重要でした。

 

当時の大阪・堂島は、全国の米が集まり取引される大きな市場でした。

そこで決まる米の価格は、各地の商人たちにとって重要な経済情報のひとつ。

そのため、

「どうすれば、少しでも早く相場を知ることができるか」

という工夫が重ねられていました。

そこで使われたのが、「旗振り通信」です。

 

山や高台をつないだ「人による通信ネットワーク」

 

旗振り通信は、見通しの良い山や建物の上などに人を配置し、旗の振り方によって情報を伝えていく仕組みです。

 

一つの地点から次の地点へ。

そして、さらにその先へ。

 

たとえば「24」という数字を伝える場合は、旗を右に2回、左に4回振ります。

右に振る回数が十の位、左に振る回数が一の位。

つまり「53」なら、右に5回、左に3回という具合です。

さらに、受け取った数字に間違いがないか確認するための「合い印」まで用意されていたそうです。

 

単に旗を振るだけではなく、正確に情報を伝えるためのルールまで決められていたことにも驚かされます。

こうして旗の合図を次々とリレーすることで、遠く離れた場所まで相場情報を届けていました

今でいえば、中継局をつないで情報を送る通信ネットワークのようなものかもしれません。

もちろん、当時の「中継局」は機械ではなく人です。

そう考えると、非常に工夫された通信の仕組みだったことがわかります。

 

 

大阪から広島まで、約40分

 

そして、私が最も驚いたのが、そのスピードです。

大阪から広島まで、米相場の情報が伝わるのにかかった時間は、約40分程度だったといわれています。

 

大阪から広島まで、約40分。

電話もなければ、新幹線も車もない時代です。

もちろん、人がその距離を40分で移動することはできません。

しかし、「情報」だけであれば、約40分で届けることができた

さらに、堂島から和歌山までは約3分で伝わったという記録も残されています。

 

「昔は、情報が届くまで何日もかかっていたのでは」

と、なんとなく思っていた私にとっては、とても意外な事実でした。

 

なぜ、そこまで情報の速さが求められたのか

 

理由を考えてみると、現代の金融市場にも通じるものがあります。

相場は常に動いているからです。

いくら正確な情報でも、届くのが遅ければ、その時点ではすでに古い情報になっているかもしれません。

 

「今、大阪ではいくらで取引されているのか」

 

その情報を少しでも早く知ることができれば、その後の売買判断にも大きく影響します。

現在では、スマートフォンを開けば、株価や為替、金利などをほぼリアルタイムで確認することができます。

 

重要な経済指標が発表されれば、その情報は瞬時に世界へ広がり、市場が動くこともあります。

 

技術は大きく変わりましたが、

「より早く、正確な情報を知りたい」

という思いは、昔も今も変わらないのかもしれません。

 

 

便利なものがないからこそ生まれた工夫

今回、旗振り通信の話を聞いて感じたのは、昔の人々の発想力のすごさです。

 

電話がない。

インターネットもない。

それでも、

「それなら、どうすればもっと早く情報を伝えられるだろう」と考える。

そして、人を配置し、旗を振り、情報をリレーしていく仕組みを作り上げた。

非常にアナログな方法ですが、その考え方は現代の通信にもどこか通じるものがあります。

「技術がないからできない」ではなく、「今あるもので、どうすれば実現できるか」

を考えた結果、生まれた仕組みだったのだと思います。

 

お金の歴史を知ると、今の金融市場も少し違って見える

普段、私たちは株価や為替の情報を当たり前のように目にしています。

しかし、

「なぜ市場では情報がこれほど重要なのか」

「なぜ新しい情報によって価格が動くのか」

と考えてみると、その本質は江戸時代の米市場にもすでに存在していました。

情報には価値がある。

 

そして、市場では、その情報をどう受け取り、どう判断するかが重要になる。

約300年前の大阪の米市場と、現在の世界の金融市場。

一見まったく異なるようでいて、実はつながっている部分があります。

 

今回、大阪取引所を見学したことで、

「金融や投資について学ぶ方法は、制度や商品を知ることだけではない」

と改めて感じました。

その背景にある歴史を知ることで、今の金融の仕組みも、より身近に感じられるようになります。

 

大阪取引所の見学で知った「旗振り通信」。

「こんな仕組みがあったのか」と、とても印象に残る学びのひとつでした。

 

FPSのある堺筋本町から北浜までは歩いてすぐ。

身近な大阪の街の中にも、まだまだ興味深い「お金の歴史」がありそうです。

皆様も見学に行かれてみてはいかがでしょうか?

 

【大阪取引所 見学案内】
大阪府大阪市中央区北浜1-8-16
大阪メトロ・京阪「北浜駅」すぐ

案内付き見学ツアーは事前予約制です。
見学方法や予約については、日本取引所グループ「大阪取引所見学」公式ページをご確認ください。

公式URLはこちらです。
https://www.jpx.co.jp/corporate/learning/tour/ose/index.html

 

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